さがら総「変態王子と笑わない猫。 8」
主人公が自らのヒーロー願望に付け込まれて、ヒーロー化させられてしまう。このシリーズの起点になるツカサの記憶にまつわる事件のときと同じことを繰り返すことになるわけだ。それに気が付いた筒隠が何とか主人公を正気に戻そうとするが、その手段がいっしょにお風呂に入ることだったりするのが、このシリーズらしさだろう。いってしまえば「幸福の王子」みたいな悲しい話になるはずなのにいつの間にやら、微エロコメになってしまっている。そのせいで他の出来事の描写が弱くなってしまったのがなんとも。マラソン勝負はあんな結果だし、小豆梓はなんかすっかり主人公のことを全面的に信じるようになっちゃって、少し気味が悪いくらい。疑いだすとあれもこれも猫神のせいなのかもしれないなあという読み方になってしまう。作者の術中にはまったのかそれともただ読みが浅いだけなのか、よくわからない。
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