京極夏彦「西巷説百物語」
靄船の林蔵が主人公の、上方版「巷説百物語」。これまでと少し様子が違って、妖怪よりも人情モノ寄りの話になっている。このあたりは上方だからというよりも、林蔵のキャラクタにあわせたというところもあるんじゃないかと思う。ただ、怪異の介入が少なくなった分、話に無理があるところが見えるようになってしまったという気もする。書き急いだというわけでもないだろうに、もう少し練ってもよかったんだゃないのかなあ。
全部で七編あるが、冒頭の「桂男」と最後の「野狐」が印象深い。「桂男」は「西巷説百物語」のノリがこういうもんだという理解させられたという点で。いってしまえば、こんなのあり~、みたいな感想である。「野狐」はそういったものを呑み込んだ上で、でもやっぱり切ないねえ、ってとこで。この並びで読んだからこそ、「野狐」が光っているんだろうなあと思う。
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