岡本綺堂「中国怪奇小説集」
「半七捕物帳」がおもしろかったので、ほかのも読んでみようと買ってみたのが、これ。しかし、「半七捕物帳」とは全然毛色が違う。おもしろくないとはいわないが、あんなふうにすらすらとは読めない。やっていることは六朝時代から清にかけての中国の怪奇小説を紹介しているだけ。だけといっては語弊があるかもしれないが、翻訳した小説を並べて、その合間合間にそれぞれの紹介者が口を挟むという構成で、やっぱり紹介しているだけにしか見えない。翻訳と聞き取りの差はあるが、遠野物語みたいなものを思い浮かべてもらえば、そんなに違わないと思う。そういえば、遠野物語も興味は惹かれたものの、やたら読みづらかった記憶がある。短い話を連ねるような作品は、読んでいてリズムに乗れないってのが大きいのかもしれない。それに加えて、この「中国怪奇小説集」は出てくる地名とか官職が耳慣れないものばかり。中国の人文に対する素養があれば苦にならないんだろうけど。昔のひとはそういう素養があったんだろうね。
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