川上弘美「ニシノユキヒコの冒険」
ニシノユキヒコの恋愛遍歴を描いた連作短編集。もしかすると被恋愛遍歴なのかもしれない。恋愛に「被」なんて付くのかといわれそうだが、そういう印象を受ける作品なんだからしかたがない。
ニシノユキヒコはもてる。もてる上に落とすのもうまいから、いつだって女に不自由はしていないように見えるんだけど、本人はどうしても女のひとをまっとうに愛すことができないなんて思ってるらしい。実際、彼の恋愛はすぐに破局を迎えてしまい、「僕の知っている女の子たちは、少なくとも、みんなおなじだったなあ、最後のところは」なんて感想を洩らすようになる。これをして、プレイボーイが嘯いてやがる、と思えないのが、ニシノユキヒコの悲しさなんだろうなあ。と、KONKONにさえ思わせてしまうのが、この連作の奇妙さだ。えろげ化したら、いままでにない作品になることは間違いない。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 豊田有恒さんが亡くなった(2023.12.06)
- デューンって再映画化してるのか(2021.02.13)
- キミラノで時間をつぶす(2020.05.11)
- キミラノ(2020.03.30)
- 志瑞祐「精霊使いの剣舞 19 聖都消滅」(2019.12.22)
コメント